マンガにであう、マンガでつながる。 新感覚 マンガ・コミュニケーション

2010年11月16日火曜日

10/30マンガリーディングナイト003レポート


日本が世界に誇る文化、マンガを通じたコミュニケーションを目指す、マンガリーディン
グナイト。10月30日に第3回を開催しました。

当日はあいにく台風が関東を直撃。神奈川のほうでは、一部電車が止まるなどの事態も発
生しましたが、懐かしのマンガや新しいマンガ、そしてマンガメシを目当てに、約60人
が神保町の漫楽園に集まりました。

恒例のマンガブース、今回のリーディングナイトは1970年代から2010年まで、年
代別に5つに分けました。ブースには、それぞれの年代にあうマンガを置き、参加者は当
日、興味を持ったブース内へ。



今回のワークショップのお題は「各年代を代表するマンガから、印象的なセリフをブース
ごとに選ぶ」。
参加者は、黙々とマンガを読んだ後、選んだブースごとにマンガの中から「くじけそうな
ときのセリフ」「キュンとしたセリフ」「爆笑」「時代を象徴するセリフ」「思わず泣い
てしまう一言」を選びました。選考中は、どのブースもかなりヒートアップしていまし
た。

「くじけそうなときのセリフ」は1970年代ブースチームから「ガラスの仮面」のセリ
フ。40度の熱に苦しみながら舞台にたつ、主人公北島マヤに、師匠の月影先生が「倒れ
たらどうします」と問いかけたときのセリフ「起きあがります」。強いマヤの視線が印象
的だったセリフです。



2000年代ブースチームからは名作となりつつある「ONEPIECE]がエントリ
ー。主人公らが、ある島で、空に浮かぶ島といわれる「空島」の話をして笑われたとき、
海賊・黒ひげがいうセリフ「人の夢は終わらねえ」。このあと見事主人公らは空島にたど
り着くことになります。
1990年代の「SLUMDUNK」の名セリフ「あきらめたらそこで試合終了ですよ」に通じる精神が流れています。

「キュンとするセリフ」には、なんと「北斗の拳」のセリフがエントリー。主人公、ケン
シロウが叫ぶセリフ「この世に俺より強いやつはいない」「おれに無謀という言葉はな
い」。なんとも熱いセリフですが、「肉食系男子の発言にキュンときました」という女性
からのコメント付きでした。





2000年代ブースチームからエントリーした「おおきく振りかぶって」は、野球部高校
生の青春を描いたマンガ。ネガティブ思考の主人公(ピッチャー)に、仲間となるチーム
メイト(キャッチャー)が、主人公の手を握りしめながらかけるセリフ「投手としてじ
ゃなくても俺はお前が好きだよ!!」 「だってお前、頑張ってんだもん」。主人公が心を開
いていくきっかけにもなります。



2010年ブースチームが発表したのは「君に届け」から、主人公の恋のライバルのセリ
フ。「だって風早が好きになってくれなきゃ意味ないじゃん」。「がんばっている女の子
が報われないのはつらいですよ」(発表者)とのことでした。


「時代を象徴するセリフ」には、各年代から多くのセリフがエントリー。2010年代ブ
ースチームは「モテキ」から主人公の「うん、でもよかったらまた誘って」というセリフ
を挙げ、「男の子が誘っていた1990年代に対し、今は女の子に誘い文句を言わせる時
代。胡桃ちゃん(君に届け)のように、女の子は好かれようとがんばっているのに。10
年もたつと男子はこんなにも何もしなくなるのか」とのコメントが出ました。



1970年代ブースチームからは、「あしたのジョー」より「そこいらの連中みたいにぶ
すぶすくすぶりながら不完全燃焼してるんじゃない」というセリフ。あのよど号事件を引
き起こした学生らを突き動かしたセリフは、まさに時代を動かした言葉です。

経済的な時代の変化を象徴するセリフを挙げたのは1990年代ブースチーム。「ご近
所物語」から「あんたはもーファミコンばっかりして・・・・学校の課題やったの?目的
もないのにビジュアルデザイン科なんてはいったりするから。高い学費払ってんのに。お
父さんも一緒にやってないでなんかいってくださいよ」というお母さんから登場人物の1
人へのお説教のセリフ。ここには、①ビジュアルデザイン科に子どもを通わすことができ
る1989年代バブルの裕福さの残滓  ②お父さんには敬語を使う、父親の権威の面影、
が感じられると社会学的考察を見せてくれました。


「爆笑のセリフ」は各チームが苦戦。その中で光ったのは、1970年代ブースチームが
あげた「アストロ球団」からのセリフ。このマンガは「超人スポーツマンガ」(各選手
が、超人的な技を繰り出し、さながら野球など普通のスポーツが格闘技マンガとなったも
の)の先駆けともいえる作品。この中で、超人的技を繰り出しすぎた選手の1人が「どな
たか宇野球一の代打をお願いしたい」と、観客席に向かって叫ぶというもの。通常の野球
のルールからすれば常識外ですが、まさに作者ルールといえるもので、笑いを誘います。

各チームとも発表スタイルがそれぞれ個性的で、選んだセリフを書いたスケッチブックに
イラストを描くチームから、はたまた4コママンガ風の発表まで。細部まで飽きさせない
発表になりました。




 
そして、リーディングタイムの後は、前回に引き続きマンガのメニューを再現した「マン
ガメシ」が登場しパーティタイムへ。
今回は、年代別企画に合わせて、「クッキングパパ」の各年代のレシピから選んだメニ
ュー。リンゴと海苔の絶妙な組み合わせが味わえる「サンサンド」、かぼちゃの甘みをし
っかり味わえる「かぼちゃのチーズケーキ」など。モコメシさん力作の料理に舌鼓をうち
ながらの、幸せのひとときを過ごしました。(libro)